時間差で開く本のように

pink petaled flower plant inside white hanging pot ブログ
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すぐに分かる言葉だけが、必要な言葉ではないと思うことがあります。

その場で共感される言葉。
すぐに安心できる言葉。
「分かります」と言ってもらいやすい言葉。

そういうものは、確かに届きやすい。

けれど、人生には、読んだ時にはよく分からなかったのに、何年も経ってから急に意味を持ち始める言葉があります。

当時は通り過ぎた一文が、ある出来事を経験したあとで、まるで鍵のように開くことがある。

その時、人は「分かった」のではなく、その言葉に追いついたのかもしれません。

Cloudy sky background

私は最近、自分がどんな場所に立ちたいのかを考えています。

たくさんの人の中で分かりやすく認められること。
同じ分野の中で比較され、活動量や人気や見えやすさで測られること。

そういう場所にいると、どうしても自分の輪郭が薄くなっていく感覚があります。

もちろん、分かりやすく伝えることは大切です。
けれど、分かりやすさだけに寄せてしまうと、まだ言葉になりきらないもの、すぐには開かないもの、時間をかけて沈んでいくものが、置き去りになってしまう。

私は、すぐに消費される言葉よりも、どこかで静かに残る言葉を書きたいのだと思います。

今は意味が分からなくてもいい。
でも、ある時期が来た時に、ふと戻ってきたくなる。
読み返した時に、以前とは違う場所が光って見える。

そんな文章や場所を、少しずつ育てていきたい。

活動していないように見える時間にも、内側では何かが組み替わっています。
地上に花が見えない時期にも、土の中では根が伸びているように。

すぐに咲く花ではなく、必要な季節に開く本のようなものを。

今は、そんな場所を作りたいと思っています。

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